あなたの家には、本が何冊ありますか?― マレーシアの調査から見えた「家庭の本」と子どもの学力

皆さんのご家庭には、子どもが自由に手に取れる本が何冊くらいありますか?
10冊?
20冊?
50冊?
それとも100冊以上?
先日、マレーシアで行われた、とても興味深い調査を見つけました。
金融業界の社会貢献団体FINCO(Financial Industry Collective Outreach)が、マレーシアの小中学生1,168人を対象に実施した「読書文化」に関する全国調査です。
この調査結果を読んで、長年子どもたちの国語・読解指導に携わってきた私は、
「やっぱり、子どもの身近に本がある環境って大切なんやなぁ」
と改めて感じました。
約3人に1人の家庭で「本が10冊未満」
調査によると、マレーシアの子どもの約3人に1人が、
「家にある本は10冊未満」
と回答しています。
一方、日常的によく本を読む子どもたちは、家に20冊以上の本がある家庭に多いという傾向が見られました。
さらに興味深いのは、読書習慣と学校の成績との関係です。
調査では、よく本を読む子どもほど、学校の成績も良い傾向が示されています。
また、家庭の経済状況による違いも見られ、低所得世帯の子どもは、高所得世帯の子どもと比べて読書頻度が低い傾向にあることも報告されています。
つまり、
「家庭の読書環境」
「子どもの読書習慣」
「学力」
この3つには、興味深い関係がありそうなのです。
「本を20冊置けば成績が上がる」わけではありません
ここは、とても大切なところです。
今回の調査は、
「家に本を20冊以上置けば、子どもの成績が上がる」
と証明したものではありません。
本があるから、本を読むようになるのか。
本をよく読む家庭だから、自然と本が増えていくのか。
親自身が本を読む姿を見て、子どもも本を読むようになるのか。
教育への関心や家庭の経済的な環境も影響しているのか。
おそらく、さまざまな要因が重なっているのでしょう。
でも私は、今回の調査で「何冊以上あればいい」という数字以上に、もっと大切なことが見えてくるように思います。
それは、
子どもの生活の中に、当たり前のように「本」があること。
ではないでしょうか。
よく読む子は、やはり「言葉」をたくさん知っています
私はこれまで、たくさんの子どもたちの国語・読解指導に携わってきました。
そこで強く感じることがあります。
よく本を読む子は、やはり言葉をたくさん知っています。
知らない言葉が少ないから、文章の意味が分かる。
文章の意味が分かるから、筆者が何を伝えようとしているのか理解できる。
問題文も正確に読めるようになります。
そして、この力は国語だけのものではありません。
算数の文章題も、理科も、社会も、問題を理解するためには「言葉を読む力」が必要です。
だから私は、子どもたちにずっと伝えてきました。
「語彙力なくして、学力なし」
語彙力は、すべての学習を支える大切な土台だと考えています。
大切なのは「本を買うこと」だけではありません
では、子どものために、とにかく本をたくさん買えばいいのでしょうか。
私は、そうではないと思います。
100冊の本を買っても、一度も開かなければ意味がありません。
それよりも、
子どもの目に入るところに本がある。
いつでも手に取れるところに本がある。
親子で本について話す。
時には親も一緒に本を読む。
図書館へ行って、子ども自身に好きな本を選ばせる。
そんな日常の積み重ねの方が、ずっと大切なのではないでしょうか。
「本を読ませる」のではなく、
「本を読みたくなる環境をつくる」。
今回のマレーシアの調査から、私は改めてその大切さを感じました。
今日、ご家庭の本棚を見てみませんか?
さて、ここでもう一度質問です。
皆さんのお家には、子どもが自由に手に取れる本が何冊ありますか?
10冊でしょうか。
20冊でしょうか。
それとも100冊以上でしょうか。
大切なのは、他の家庭と冊数を競うことではありません。
まずは今日、子どもと一緒に本棚を眺めてみる。
そして、
「次は、どんな本を読んでみたい?」
と聞いてみる。
そこから、新しい一冊との出会いが始まるかもしれません。
子どもたちがたくさんの言葉と出会い、その言葉を使って考え、自分の世界を広げていく。
Dreamkidz まなび舎は、これからもそんな子どもたちを育てていきたいと思います。
「語彙力なくして、学力なし」
【今回参考にした調査】
FINCO(Financial Industry Collective Outreach)
“Reading Culture Amongst Malaysian Students – National Survey
